2012年3月23日金曜日

なぜ、エリスロポエチンは腎臓で産生されているのか?

以前から、ずっと気になっていたことであるが、造血因子として非常に重要で、なおかつ近年の遺伝子工学の技術で製品化され、多くの腎不全患者に福音をもたらしたエリスロポエチンであるが、その造血に重要な役割を演じている、エリスロポエチンが、なぜ骨髄ではなくて、腎臓に存在するのかということは、かねてから疑問であった。
自身の不明を恥じるばかりであるが、
最近読んだ教科書の中に、そのヒントについて記載があった。
「保存既腎不全の診かた」柴垣有吾著 のなかに、その記載がある。

Donnelly らの総説によると、生体には体液量を感知するセンサーとして、Critmeterというものが存在するのではないかということである。赤血球数と体液量で規定されるヘマトクリットをおよそ45%という適切な濃度に維持することが、生体の酸素供給としては効率的であるという。

このヘマトクリットを感知するCritmeterは、腎臓の近位尿細管近傍にあり、この部位にエリスロポエチンの産生がみられるとのことである。

体液量と組織への酸素供給を決める上で、このCritmeterによるエリスロポエチンの産生が合目的なのであろう。という。

この総説は、2001年のものであり、すでに10年が経った。
その後の進展は、いかがなものか、また学説の進展に興味をもっておこうと思う。