2010年5月5日水曜日

2-3-2 シナカルセト(2)

副甲状腺ホルモン分泌抑制薬:calcimimetics
永野伸郎 ホルモンと臨床 vol55; no7, p39- , 2007.


シナカルセトによるPTH抑 制作用は、主として、PTH分泌抑制作用であるが、一部、合成抑制作用もある。

副甲状腺細胞の増殖の低下、肥大した副甲状腺細胞の退縮が得られる。
シナカルセトは、副甲状腺細胞にアポトーシスをおこさないので、細胞数の減少はおこさない。
しかし、 シナカルセトにより、CaRやVitDRが発現増加することが知られており、これらを介して、副甲状腺機能が低下する可能性もある。

骨作用:
腎不全ラットでは、高回転型骨代謝にて、シナカルセトの投与により、皮質骨骨密度の改善、骨強度の改善、皮質骨そしょう化の抑制、ならびに繊維性骨炎の発症を抑制。
シナカルセトの投与による、oscillation(間歇的な副甲状腺抑制)が有効か?

異所性石灰化抑制作用:
過剰投与のVitDは、血中のCa×Pi積を上昇させ、大動脈中膜、心、腎、肺に異所性の石灰化を惹起する。シナカルセットの投与は、石灰化を惹起しないことに加え、VitDと併用することにより、VitDによる石灰化を抑制する。

少数例での報告であるが、透析患者へのシナカルセトの臨床使用によって、骨型アルカリフォスファターゼの低下、繊維性骨炎の抑制、大腿骨骨密度の増加、骨生検所見の改善が得られている。





現在以下の臨床試験が計画されているとのこと。
シナカルセトによる、死亡率と心血管疾患への影響(EVOLVE試験)
血管石灰化に対する、低容量VitDとの併用試験(ADVANCE)

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